最後の小説「夜の歌」が出来た訳

ガンが再発した時、

さすがにもう完治は無理か…と思われたそうで、

「この小説が最後の作品になる」と思われ、

病気をおして執筆されたのが、

「夜の歌」

という小説です。

 

内容は、なかにし礼さんが6,7歳の頃に体験されたことが書かれています。

満州国での出来事で、

引き上げ難民と日本軍人との攻防は、

本当に聞くだけで辛い話でした。

 

命を落とすかもしれない大病の闘病中に、

辛い時の話を思い出すって、

逆につらいのではないかと思うのですが、

 

「どこまでも自分を追及して、深いところの意識を書きとめていかなければ」

と、強い気持ちを持って書かれ、

むしろ「こういう小説が書きたかった」と思われたそうです。

 

するとどうでしょう。

 

書き上げた後の4回目の抗がん治療で、

ガンが全て消えたそうなんです!!

 

なかにしさんも半信半疑だったようですし、

担当のお医者様も、

「細胞レベルではまだガンがあるかもしれない」

と言われ、もう一度抗がん剤を打たれたようですが、

それでも奇跡に近い話ですよね!

 

満州国でみてきたものは、

決して自分のせいでなかったとしても

「見殺しにした」

という気持ちがずっと拭えなかったようで、

この「夜の歌」を書くことで、

その気持ちがすっきりしたそうです。

 

ガンにかかる、というのは決して良いことではありませんが、

そのような今わの際だったからこそ、

一番したかったことに気付き、それが出来たというのはあるのかなぁと思いました。

それでガンが消えた、というのも、なんだかつながりがあるように思えてなりません。

 

まとめ

幼い頃のつらい体験が、

すばらしい作品の原動力になっているというなかにし礼さん。

自由と平和の重要性を自らの体験を通して伝え続ける活動を、

是非今後もお元気で続けて頂きたいですね!